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新型インフルエンザ①---表現を巡って (②以降続くかどうかはわからない) [雑感・話題]

 去る4/24メキシコで800人余りの豚インフルエンザウィルス(H1N1)の人感染を疑う例があり、60人が死亡しているといったニュースが世界を駆け回った。4/25には米国においても患者のいる事が分かり、メキシコ渡航者を中心に患者はカナダ、ニュージーランドに広がった。4/27(日本時間4/28)WHOはこれまでphase3としてきた人インフルエンザの段階をphase4とすることを発表。4/30には米国でも感染が広がっているとの判断から一気にphase5となった。それに合わせて私たちも慌しい動きをしているのが現実である。実際のところ鳥インフルエンザH5N1を巡り交わされた討論はなんだったんだといった思いである。まだ事件は小康を得ていず、これをまとめる時期ではないのでここまではただのprologueとして考えてもらいたい。
 当初豚インフルエンザのヒト感染と表現していたものがphase4となってきた事で日本語では新型インフルエンザと表現するようになった。英語圏ではsuper (bird) fluと表わしていたように、今回もswine influenzaと表現してきた。日本でも二月に愛知県でウズラの鳥インフルエンザ感染が発覚して以来、食材としてのウズラ卵を排除する動きがあり、これに対して卵では感染しないといった後方が盛んに行なわれた事は記憶に新しい。こういったことは世界のどこでも起きるようで「豚インフルエンザのヒト感染」の報道を受けて、豚肉の流通が大きく落ち込んだ。関係者の広報も効果が無かったばかりか、メキシコ産豚肉の輸入禁止措置を国家レベルで行なう国も現れた。
 4/30,WHOはこれまで豚インフルエンザ(swine influenza)と表現していた事を改めてインフルエンザA(influenza A)と表現すると決定したとの報道があった。豚肉消費の多い中国でも消費落ち込みが見られ5/1それまで猪流感(中国語で猪と書けば日本語の豚をさす)の表現を甲流感(甲肝炎、乙肝炎といえば日本語ではA型肝炎、B型肝炎のこと)に変更した。しかし豚肉の値段は一気に60%も下がったという。折からの世界的不況もあり、WHOをはじめ保健のセクターが経済的判断をしたことになる。これまでの鳥インフルエンザ表現を続けてきたこととは大きな違いであり、養鶏業者などはどう感じていいるのか少し気になるところである。いずれにしても豚肉は嫌われだした。メキシコ産豚肉の輸入禁止措置を出した国を相手取りWTOに提訴した。
 豚を取り巻く動きは他にも出た。5/4エジプト(ここは今年になり鳥インフルエンザが多発した事で覚えている方もいよう)では豚インフルエンザ蔓延を予防するとの名目で政府が国内の飼育豚の全頭処分を決定し実行に移したところ、養豚業者と政府役人の間で争いが生じ、治安部隊の出動する騒ぎになったものとのことである。この背景には宗教的に大多数のものが豚肉を食べないイスラムの国にありながらも少数の豚肉を食べるキリスト教の信者がいることに起因するようだ。鳥インフルエンザと違い、同類の中で致死的経過をとりつつ急速に広がるわけではない、感染の有無さえ分かりづらい豚の全頭処分を決めたのは科学的判断というよりも宗教的独断のようで、当地のキリスト教徒(かの地ではスラムに住んでいるという)には気の毒な話だ。もっとイスラム色の強いイラクにあっては、養豚業は存在しなかったようだが、動物園で飼っていた猪三頭が政府の命令でインフルエンザ対策の一環として処分されたという。このような動きは宗教的独断というか、習慣の違いから来る偏見的行動というか、ある動物の命をどうするかという事に関して、日本・北欧国などの捕鯨国と米・仏など反捕鯨国との捕鯨に対する意見の相違とどこか似ている。

 そして今日、カナダ帰りの高校生ら三名が日本の地で新型インフルエンザと診断された。検疫での診断のため分類としては国内発生とはならないらしい。しかし国内発生例が出るのは時間の問題となってきたようだ。検疫にかかる人員の問題もあり、水際作戦の効果に対して限界が近づいてきた事もあり、本日麻生首相が水際作戦を徹底的に継続するような事を言ってはいるが、専門家は主力を水際作戦から医療にシフトする事を検討している。

こういった実際の動きはさておき、今回の呼称変更については疑問点を持っている。influenza A(インフルエンザA)のAはいったい何を意味するのだろうという事である。今回のH1N1新型インフルエンザも、先日まで騒いでいたH5N1インフルエンザも、さらにはソ連風邪や、アジア風邪、香港風邪、スペイン風邪とよばれるインフルエンザも含めて全てA型インフルエンザである。その呼称で他のB型インフルエンザ、C型インフルエンザと区別し、そしてA型ウィルスのH(hemaglutinin)およびN(neuramidase)の型が変化していろいろなウィルスに変化すると話をしてきたわけである。そういった事情を知ったものの中では混乱は起こりにくいかもしれないが、住民に「A型インフルエンザではあるけどインフルエンザAでない強毒型鳥インフルエンザH5N1は・・・・」といった説明は混乱を招くのではないだろうかと危惧する。インフルエンザAなどという意味の分からない表現をするより、これまでの歴史に倣ってメキシコインフルエンザと表現するのが自然ではないか。そうする事によって現在中国-メキシコ間で出入国制限問題でもめているような自体が多発するというのが心配だというなら、日本語のように「新型インフルエンザ」といった動物を早期させない、ある種わけの分からない表現を当面使うほうがいいのではないか。それともinfluenza AのAはAmerican continentの頭文字なのだろうか????いずれにしてもうまい表現とは思えない。


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