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救急の日関連行事に参加して [雑感・話題]

 九月九日はいわずと知れた救急の日です。古くは重陽の節句と言いました。重陽とは陽の数字(奇数)が重なると言う意味で、中国の五経の考えから来たものです。現代でも一月一日、三月三日、五月五日、七月七日何れも何らかの節句として残っている事に気がつくと思います。そして最も大きい陽の数字である九が重なる非常に陽の強い日と言う意味でした。重陰の日は特に意味の無い日であったこととは対照的です。一方救急の日は1982年に決められた、ただの駄洒落記念日のひとつです。
 毎年この時期に全国で救急の日関連事業が行われ、救急医療の充実が図られてきたとのことです。先日その行事を覗いてきました。 救急医療を取り巻く昨今の動きを受け、救うことの出来る命を救う為に、救急車を用いた救急受診のあり方について一考を促す話で救急医療の今日的課題である救急車の適正利用に関する話題提供がされていました。
 聞きますとこの十年間で全国の救急車の出動回数は50%の増加が見られるとのことです。救急を要する病態が増加したのかというとそうでもなく救急車を呼ぶ事に対する抵抗感が極めて低くなってきている事が指摘されています。関係者の間では救急車のタクシー化という表現もされていて、アメリカや、中国などでそうであるように救急搬送の有料化も議論されているところです。その昔労働災害や交通戦争とも言われる交通事故が多発した時代の1963年改正消防法により消防の業務のひとつとして救急搬送業務が法制化されたことに始まります。救急車の制度が出来た頃はそういった傷病者を如何に救うかという時代の要請があったわけです。救急車が来ようものなら隣近所の人が「救急車が来た!誰やろ、誰やろ!」と半分は心配の心、半分は好奇の心でまるで火事場の野次馬のように人が集まることから、ちょっとした病気で救急車の出動を要請することは、医療にかかったという個人情報が世間に筒抜けになることから多くの人が躊躇したものでした。自分の都合のみで受診するコンビニ受診も問題とともに現代の救急医療の大きな問題とのことでした。
 引き続いて、救う事の出来る命を救う為に現場で出来る最たるものとしての救急救命のABCDについての講演と実習がありました。2004年AEDの一般解禁が認められたときにはとにかく処置手技を如何に正確に伝えるかと言ったことに重点が置かれていました。確か2005年の名古屋万博のときでしたでしょうか、会場で心肺停止になった患者さんを居合わせた医大生がAEDを用いて救命した話題がニュースになったことがありました。そういったこともあり、万博会場のような人の集まる施設、例えばスポーツ会場、学校、ホテル、デパート、レジャー施設などに一気にAEDの開設が続き、今では何かの集まりがあって心肺停止の事態が生じたときAEDが無いといった場合、そこが大きな会場であれば「なぜAEDが設置してなかった?」といった責任問題が問われるのではないかとまで思われます。そんなAED装置設置の拡大を受けた今日、如何に住民に対してその手技に興味を持ってもらえるかといった活動に変わってきているように思いました。具体的には寸劇を用いて楽しみながら手技を覚えるといった趣向に変わってきていました。参加型活動である実習においても以前と比べて尻込みする人も少なくたくさんの方が参加していました。きっと参加している人は初めてではなく何度か経験する事により次第に慣れてきているものと思われ、きっと実際にことが生じたときも冷静に対処できるものと期待できるのではないかと思った次第です。考えてみればD:defibrillationは機器のお手伝いをするだけで技術的にはABCのほうがずっと高度です。AEDの使用を解説するビデオ音声をuploadします。一度でも体験した事のある方にはimage-trainingになるのではないでしょうか?


 こういった機会を利用してみんなが救急医療をその主役である救急隊・病院関係者とともに理解しあい、とかく人手不足といったことの強調される救急医療の現場をみんなでよくしていく必要がある時代に来ているのだなと感じた次第。皆さんの地域ではどうでしたか?

注釈
救急医療のABCD
A:airwayの略で気道の確保を意味する。具体的には窒息状態の人の頤の骨を用手的に持ち上げて窒息状態の解除をする手技
B:breathingの略で、呼吸停止状態であればmouth to mouthで人工呼吸をする手技。今は唾液を介した感染症を予防する為の道具が売られているらしい。
C:circulationの略で循環の意味。脈が触れない状態のときは心臓マッサージで循環を維持する手技。
D:defibrillationの略で、脈が触れないという状態のひとつに心臓が「痙攣」状態にあることが理由のときがあり、これを解除すると脈が触れるようになることがある。痙攣状態の解除をする手技を指す。専門用語では除細動という。


タグ:救急医療 AED
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