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毎日闇鍋食べてます!! [随想]

 闇鍋と聞いてピンと来る人はどれくらいいるのであろうか。昔のあじのある言い方が廃れ、チョーとかKYとか品のないことばが隆盛する中、既に死語になっているのかもしれない。気の知れたもの同士が互いに何であるかは秘密にして食材を持ち寄り、それを鍋にぶち込んで鍋料理をして楽しむ事をさす。私も経験はないが、旧制高校の卒業生は寮生活の中での思い出のひとつになっているという話を先輩から聞いた事がある。中には手ぬぐいや、長靴といった到底食べられないものを入れる不届き者もいたというが、通常は不文律の常識下に行われていたと聞く。
 今日的に私が毎日食べているのはそういったものではなく、別のことばで言うと、偽装食品である。「偽」は昨年のKanji of the yearであったが、今年も偽は続いており、今年のKanji of the yearが果たして何になるのか想像もつかない。高濃度農薬あるいはカビ汚染により食用とならなかった事故米と呼ばれる工業用米が食用とされて、何が入っているのか消費者は勿論、おそらく末端の業者も知らないまま食用米として流通する。中国のメラミン混入粉ミルクに至っては当初何のことかよくわからなかった。何でも最近腎結石になる子どもが多いとの事から死亡事故が生じ、原因を探ったら粉ミルクにメラミンが入っていたという事である。でもメラミンってたしか、樹脂にして家具に使うあれが、なんでミルクに・・・・?というのが初めて報に接していたときの感想である。続報を聞くうち、何でもその物質に窒素分量が多い事から窒素を頼りに蛋白量を測定する装置をごまかす事が出来るものであるらしい。だからやはりメラミンも不良食品というよりは非食品である。この辺が昨年までの不良食品事件からみると新たな展開といえる。終に私たちの食べる闇鍋には手ぬぐいやら、長靴が投げ込まれ始めたと言っていいのではないだろうか。昔の闇鍋は明かりさえつければ「なんじゃ、この長靴を入れたのは誰や!」とすぐわかったが、現代の闇鍋は何が入っているのか、なかなか分からない。健康被害が出るのを待って初めて世の中に知られる事になるものもあろう。
 ところで「偽」の字を分解して「人の為がなぜいつわり?」と字源を考えると訳が分からないといった思いをしたことのある人もいるかもしれない。しかしこの字を分解して解釈するときは「人の為すこと」と分解すべきで、その反対語は「天然」にあたる。私たちが現代よく健康食品のキャッチフレーズの代名詞のように言われる「自然食品」もまたその目的で人が栽培あるいは成長を管理すれば「天然」というより「偽」の産物といっていいであろう。人はその誕生から今日の繁栄まで自らを生かす為にいろいろ手を加えてきた。常に「偽」が必要であったといって言い。ただ、今日の社会が悲しいのは気の知れた者同士の闇鍋でなく、どこの誰が作ったものか分からない闇鍋を毎日食べているという事である。監視制度、traceabilityなど新たな「偽」を用いて生産の「偽」の質を上げていかなければいけない。生産者が外国であれば外交ルートを用いて食材生産のknow-howを教えてでもかの国の生産能力を改善して行かなければいけない。いずれにしても人が生きていくかぎり、「偽」は必要であり、私たちの将来的な役割は「偽」の質を上げ、出来れば「偽」がfalseといういみでなく、human madeという意味に変わることなんだろう。外国の為にそこまでするか?確かにそうは思うが食の自給率40%の我が国の食の安全保障を考えると外国の食品管理体制を我が国のそれと同様にしていくことはある種「同化政策」であり、長い目で見ると国益にもなると思うのだがどうだろう。
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