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自動車運転における責任能力 [雑感・話題]

 081109朝日_交通事故 無呼吸症候群を理由に無罪memo.JPG  本年11月9日の朝日の記事である。気に留めた人も留めなかった人もあろう、交通事故被害者の家族がその加害者に罪があるものと信じていたが、加害者が睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndorome)であったために人をはねた行為に関しては無罪との判決が下りた事を報じている。被害当事者から言えば赤枠で囲った如く「うちの子は何も悪い事をしてないのに、その子を死に至らしめた人が無罪というのはまったく理解できない」というのはよく理解できる。近年SASの人が日中に突然抗し難い眠気に襲われる事はよく知られてきており、たとえ事故を起こしても責任能力はないという判断が司法にあることを示した判決といえる。なお検察は判決を不服として15日控訴を決めている。
 責任能力を問われない事でよく知られるのは精神錯乱状態でschizophreniaが代表的、判例があるかどうか走らないが、麻薬・覚せい剤の影響下なども責任能力は問えないという事になるのかもしれない。正常な運転を行う能力はないことはわかっているが、飲酒をし酩酊状態で酩酊状態で事故を起こした場合はどうなるか?安全運転を行うことが出来ない状態であることは同じであってもこちらはとても強い処罰が待っている。酒の場合は「酩酊になる前に飲んで運転するという行為が正しいかどうか前もって判断しておけ!」というのが道路交通法の考えのようだ。ただ、道路交通法以外の犯罪では酒も他の薬物・麻薬同様異常酩酊に陥っていれば責任能力は問えないという事になっているそうである。このあたりに一般刑事と道路交通法の罰の間に整合性が無いように思うのであるが、どう考えたらいいのだろうか?
 道路交通法に話を戻そう。飲酒と同様に考えるなら、麻薬も覚せい剤も酩酊(急性中毒)になる前には責任能力をなくす事は周知の事実であり、飲酒同様強い処罰で望むべきではないか。これに対して「私は麻薬をやったら酩酊になるとは知らなかった」とか「啓発が十分でない」という人間がいるかもしれないが、これは大いなる甘えであると思う。社会はこんな当たり前のことを知らなかったという人の面倒までみる必要があるのかと思う次第。それと同様に裁判所がSASだから責任能力は問えないという判断をするのであれば、社会防衛としては運転に障害を与えるかもしれない重度のSAS患者は運転免許の欠格条項に入れる必要があるのではないだろうか。それを放置していたら今回の豊橋の悲劇は繰り返される事になる。現実には欠格条項には入ってないので現実で考えるとどうなるだろう。運転免許証とは「公道を運転する許可を与える」という意味で運転の責任は当人に帰されるという話を聞いたことがある。もし自分がSASであることを知ったうえで運転し、その症状のために事故を起こしたとしたら、前述の酒を飲んだら運転能力が低下すると知っていて飲酒運転をし事故を起こしたという事と同じように罪深いと思うのだがどうなんだろう。

難聴マーク.jpg 欠格条項といえば癲癇患者はかつて運転免許の欠格条項であったが、2002年の道路交通法改正で発作消失が続いている、発作が夜間睡眠中などに限定され運転中は起こらないと推定されるなど特殊な条件付で癲癇患者にも免許が出されるようになっている。また2008年の改正では高度難聴者にも条件付で免許が公布されるようになった。今後、この障害による事故が生じたときまた責任能力が議論される事になるのであろう。ちなみに聴覚障害者の運転の条件として車の前後に青地に黄色の蝶のマークが張られる事になっているので、見かけたときはクラクションを鳴らしても意味はないとかいうことをわかった上で運転する必要がある。
 日本の刑法判決は責任能力といった被害者にとって何の関係のないところでの議論が多い。そんな矛盾に気づき犯罪被害者の会を作った岡村勲さん自身弁護士をしていて自分が被害者家族になってその矛盾に気づいたというが、責任能力とは別の判断基準も導入して考える必要があるように思うしだいである。一般刑法にもいろいろ思うことはあるが、きちんと整理して話す能力もないし、だらだら長くなるだろうし今日のつぶやきはここまでにしよう。ただ、我々は責任能力を問われない人々と共存しているという自覚を持って、人に気を許すことなく緊張感を持って生活しなければいけないということだけは事実だろう。


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